遠藤研究室

種内変異の実態調査-infraspecific variation

蓄積された多数の標本の比較観察の結果、あるいは野外での広範な観察経験から、既存の分類では同一種とされているものの中に栄養器官や生殖器官に顕著な形態変異を示す植物を発見。その変異の実態を明らかにするべく収集された標本や生植物に基づき各器官のサイズ等を測定し比較検討を行う。さらにDNA解析を加え、多様な個体間の遺伝的な関係を推定する。

エビラフジ類花柱

Endo, Y. & Ohashi, H. 1986. Variations and infraspecific diversity of Vicia venosa (Leguminosae) in Japan. Sci. Rep. Tohoku Univ. (Biology) 39: 121-141.(日本産マメ科エビラフジ類に5型<エビラフジ、ヒメヨツバハギ、シコクエビラフジ、シロウマエビラフジ、ビワコエビラフジ>を認めた。このうち、後者3分類群は新記載され新たに命名されたものである。花柱の毛の有無、葉脈の疎密、地下生の走出枝の有無等に変異を認めた。同一種と考えられる集団が、日本において5型にも分化しているという希な状態である。写真の左はエビラフジ、右はシロウマエビラフジの雌蕊先端を示す。シロウマエビラフジはソラマメ属の特徴である花柱上の毛を失っている。)

Endo, Y. & Ohashi, H. 1987. Chromosome of five infraspecific taxa of Vicia venosa (Leguminosae) in Japan. J. Jpn. Bot. 62: 65-69.(日本産マメ科エビラフジ類の5型<エビラフジ、ヒメヨツバハギ、シコクエビラフジ、シロウマエビラフジ、ビワコエビラフジ>染色体数および核型を明らかにした。)

フシナシササハギ

Endo, Y. & Ohashi, H. 1990. New distinction between Alysicarpus vaginalis and A. ovalifolius (Leguminosae). Nat. Hist. Res., No. 1: 43-48.(マメ科ササハギ属の2種ササハギとフシナシササハギの識別形質を明らかにした。前者は果実は節果となるが、後者ではこの節間の隔壁が消失する。つまり、前者の節果では、果皮が節で折れて、種子は果皮に囲まれた状態で節単位で散布されるが、後者では隔壁消失により、種子が果皮による被いから外へこぼれ落ちる状態になってしまっている。なお、現在、これら2型に中間型が存在するとして、共に種内変異であるとする説があり、検証が必要である。写真左上はササハギの節果で隔壁がある。左下はフシナシササハギで隔壁が欠如している。果皮表面には鉤毛がはえており、ササハギの節果の場合は果実ごと動物散布される。一方フシナシササハギでは隔壁が無く、果皮から種子が外へ出てしまうので、重力散布となる。)

ミツバノコマツナギ類の分布

Endo, Y. & Ohashi, H. 1998. Diagnostic characters and distribution of Indigofera pedicellata Wight & Arn. J. Jpn. Bot. 73: 67-75.(マメ科コマツナギ属Indigofera pedicellataの新識別形質の発見。これに基づく、正確な標本同定による同種の分布域の確定を行った。さらに、ミツバノコマツナギ類に3型を認め、その分布を示した。これらの分類学的取り扱いについては、DNAの解析等、さらなる検討が必要である。図はミツバノコマツナギ類の3型の分布を示す。)

Endo, Y., Choi, B.-H., & Ohashi, H. 2000.Distinction between Vicia americana and V. bungei (Leguminosae). J. Jpn. Bot. 75: 92-97.(マメ科ソラマメ属のアメリカ大陸原産のV. americanaとユーラシア大陸原産のV. bungeiを比較し、後者は地下生の塊根をつけるという特徴で前者と異なることを示した。それまで、両者はユーラシア大陸とアメリカ大陸に隔離分布する同一種との見解があった。)

茨城大学理学部生物科学コース
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